大怪獣のあとしまつ観てきたよ。

そのまま。観てきたよ。「大怪獣のあとしまつ」。

本当はもう10日位したら「牛首村」が公開されるから一緒にガッと観たかったんだけど、諸事情ありまして…急いで見に行きました。

観る前に書いたところ

「大怪獣のあとしまつ」という題名を見たとき、感じることは人それぞれだと思う。俺はウルトラマンみたいに怪獣は当たり前の世界っていうのを想像してて、対怪獣特別隊みたいな人たちの特に非戦闘員のあるあるみたいな映画を予想していた。あるいは、怪獣との戦闘の後の町の復興に取り掛かるみたいな内容であったり、怪獣を観光資源にするみたいな業者がいるかも…みたいな。そういう普段はスポットライトが当たらない人達の話と思ってた。

がしかしどうもそうではなかったらしく。なんだか微妙な恋愛要素があったり、下品なギャグというか下ネタがあったり、酷い有様だったらしい。

そのためネットではシン・ゴジラ(以下シンゴジ)の不要部分を集めて煮詰めたクソ映画だの令和のデビルマンだの邦キチ行きだの、酷い言われよう。(デビルマンをクソ映画の代名詞にしたり、邦キチをクソ映画の墓場みたいに扱うのやめようね。)

そんでクソ映画あるあるのネタバレビューのバズと、それを見てクソ映画として消費した奴が更にクソ映画としてレビューを書くという負の連鎖が起きて、不意にネタバレされるのを防ぐために急いで観に行ったってわけです。

 

ちょっと待って売店に「Deus EX Machina」って書いてあるドッグタグが売ってあるんやけど。これすさまじいネタバレくらったんと違うか。ヤバ。

 

待って待って待って。客が俺しかおらんぽいんやけど。こんなん去年の「100日間生きたワニ」以来半年ぶり2回目やど。いや、ヤバ。

 

観てから書いたところ

まず最初に、別にクソ映画ではなかったよ。傑作ではないだけで。あとやっぱり観客は俺しかいない超絶ソーシャル・ディスタンス映画やった。う〜ん令和4年。

多分この映画をクソ映画と評価している人は「シンゴジを期待して観た」か、ネット上の多くのクソ映画という評判をみて「批判しないと自分がバカ舌だとバレるのを恐れている」あるいは「好評価をして逆張り野郎と思われたくない」のか。

あるいは「ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発(2008年公開)」を観てないか。このどれかであろうと思う。

一応観てないフォロワーのために「ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発(以下ギララの逆襲)」をざっくり紹介しとく?しとこう。

G8(現G7)の洞爺湖サミットのタイミングに合わせたかのように札幌に現れた宇宙大怪獣ギララ。ここでギララを撃退すれば株が上がる!と打倒ギララに燃える各国首脳。特撮映画では定番の自衛隊の攻撃は効果があろうはずもなく、渾身のローマ魂作戦であったり誘導電磁波作戦、VXガスポロニウムを使用した毒殺作戦を試みるもことごとく失敗。手詰まりの首脳国にしびれを切らした海の向こうのキムさんがテホ°ドンを発射。しかし中途半端な威力の核ミサイルではギララを消滅させるに至らず、世界中に飛び散ったギララの細胞が再生・成長し、地球はギララの星になってしまう可能性がある!賽はもう投げられた。どうする!?手詰まりだ!といったところで最後は神頼み。洞爺湖畔にある神社で、ある大物芸能人の持ちネタに酷似した踊りを「ネチコマネチコマ!ネチコマ!」と捧げることで祈りは届き守護神タケ魔神が現れる。ここでまさかのビートたけしVSギララという夢の決戦が実現。正気か。その後少々手こずりながらもタケ魔神がギララを倒しておわり。そんな感じ。

見どころはビニール養生したギララにVXガスを吸わせたら笑気ガスとして作用して、ギララが声を上げて笑うところ(邦キチ)。天下のゴジラも、「シェー」したり吹き出しで会話したこともあるゴジラも声を上げて笑ったことはないよ。

などとあらすじを書いていると自分でもなんかよく分からんかったけどよく分からんかったね。監督が「日本以外全部沈没(2006年)」「ヅラ刑事(2006年)」の河崎実だから。で済ませてしまおうや。うん。

要するにシンゴジのような怪獣映画を期待してバカ映画を観ればそりゃあまあクソ映画にも感じましょうなって感じ。というかシンゴジと比べるなよな。シンゴジを基準に映画を観ると大抵の映画は辛いよ。

っていうかゴジラシリーズにもなかなかアレなやつはあるで。

 

ネタバレよ(ネタバレよ)

これウルトラマンなんよ。ウルトラマン。まさかのウルトラマンやったんよ。

この映画のストーリーをまとめると、人類の兵器ではキズひとつ付けられない怪獣をウルトラマンが倒して、亡骸を放置してたら腐ってヤバいことになって、ハヤタ隊員(ウルトラマン)が責任者になって死体処理をするもいい策が出てこない上に妨害にあって難航、痺れを切らしたハヤタ隊員がウルトラマンに変身して宇宙に捨てる。そんな話。

映画冒頭でも「デウス・エクス・マキナ(≒ご都合主義)」について説明があって、察しのいい人ならこの時点で「アッ」ってなる。かも。オチの伏線とも言えるが伏線というか…なんとも。直接すぎるんよ。

そんで観終わってから公式サイトを確認したら『(怪獣は)突如現れた光に包まれ絶命。光と怪獣の死の因果関係は不明。』と書いてあって。すさまじいネタバレなんよ。説明不足もあかんけど、過説明もあかんて。ここはちょっといかがかと思ったところ。

ここだけじゃないけども。

ここだけじゃないけども!!

 

 

んで真面目な話するとこの映画は三角関係の映画なんよ。三角関係。山田涼介とヒロインの土屋太鳳(エンドロールであの人が土屋太鳳か!てなったよ)と濱田岳の。

そう考えると最後の最後まで山田涼介が「デウス・エクス・マキナ!(変身の掛け声)」をしなかったのが単なるご都合主義ではなく、「デウス・エクス・マキナ!」は本当の本当に最後の手段であったことが分かるわけよ。な?(威圧)

まとめていくよ。

山田涼介とヒロインと濱田岳の3人は元々特務隊(怪獣バスターズ)の同僚。怪獣が「謎の光」によって死ぬ直前に3人は「謎の光」と邂逅・衝突、山田涼介はその時に行方不明になる。

その後は

  • 山田涼介 光の巨人になって怪獣を倒して、失踪しているうちに恋人だったヒロインが同僚と結婚していた。酷い。つらいが過ぎる。「あとしまつ」では責任者として彼女と仕事をすることになる。
  • ヒロイン 自分の勝手な行動で濱田岳を巻き込んでしまい、大怪我を負わせてしまった自責から彼と結婚する。けど普通に山田涼介が好き。「あとしまつ」中は大臣秘書になり政府側の人間として関わることになる。
  • 濱田岳  怪我の功名(片足を失ったが)でお情けとはいえ曲がりなりにも嫁になったヒロインが、帰ってきた山田涼介のことをまだ好き。そんな気がする。つらい。しかし山田涼介。こいつは何か秘密を抱えているぞ。首相の秘書という立場を利用しない手はないな。そうやこいつを責任者にしてボロを出させたろ。

と別々の道を進んだ3人がひとつところにあつまるところから物語が始まる。なんせこの映画はこの三角関係がキモ。

 

ヒロインは「山田涼介が好き好き!何か「ヒミツ」を隠してるのが気になる!」しかないから置いといて。

山田涼介もヒロインのことは好き。表には出していないが濱田岳に寝取られたことに動揺している(はず)。

しかし彼はなぜか光の巨人に変身しない。ご都合主義と言えるほど簡単に解決できるにも関わらず。スーパーマンウルトラマンのように正体を知られずに変身すればよさそうなのに変身しない。

つまりできない。となるとあるいは何かしら致命的なデメリットを抱えているのかもしれない。

一度失踪しているくらいだしインターバルが超長いのかも。実際ヒーローが出現する時に限って、変身者がその場にいないというのはウルトラマンやその他変身ものの鉄板ではあるが、彼らはすぐ帰ってくるから「間が悪い」くらいに留まっているみたいなところはある。

あるいは単純に次変身したら命を落とすのか。

なんせ彼にとって変身=ヒロインとの別れを意味するのか最後の最後まで変身はしない。

濱田岳も普通にヒロインが好き。「謎の光」との邂逅及び事故に巻き込まれたのも、ヒロインをひとりで行動させないために同行したせい。

彼も「謎の光」と接触後に山田涼介が失踪したのを目撃しているため、怪獣の死と何か関係があるらしいと勘づいている。

「あとしまつ」中は常に山田涼介の足を引っ張り、邪魔をする事でピンチに追い込まれた山田涼介が「ヒミツ」を使うところを見たい。そうすれば彼の信用はなくなり、ヒロインは俺のものになるだろう。

彼の行動原理はこれだけ。単純で分かりやすい。が、これが分かってないとただ単に自分の手柄にしたくて足を引っ張るマヌケ野郎にしか見えんかも。

あと俺思うに山田涼介への嫉妬に関してはヒロインの愛以外に、山田涼介のもつ「ヒミツ」に対する嫉妬もあるんかなと思う。だって2人とも同じ事故に遭ったのに、片や足を失い得たのは愛のない結婚、片や謎の「ヒミツ」を得てヒロインの愛は未だにこちらにある。ズルいもんそんなん。

その悲しみの中で濱田岳は明確な悪意を持って妨害を行う悪となる。悲しすぎる。

 

最終的に「ヒミツ」を知られたくない山田涼介VS「ヒミツ」を暴いてやりたい濱田岳の戦いは上述したように「デウス・エクス・マキナ!」してしまった山田涼介が負け。愛は引き裂かれバッドエンド。ということになる。

これがわかってないと

  • 無能な偉い人が立てたトンデモ作戦
  • 頻繁に入る下ネタ
  • 目的と関係ない妙に絡んだ人間関係
  • 唐突で無意味なラブシーン
  • なんじゃそらなオチ

サメ映画だこれ!!ってなるわけですな。

しかし正しくは限りなくうんこに近いゲロの臭いがするうんこ映画です。

もし観ようと思う人がいるなら「ご武運を。」

 

 

 

そんでバッドエンドとは書いたけど、どうも「甲羅は別にして処分」する必要がある「大怪獣メラ」のあとしまつを予算半分でするらしい。

そういう冗談かもしれんが、もしかするとここで大逆転があるかもしれんから楽しみよ。

 

 

 

主人公が山田孝之だったら、こんなに炎上せんかったと違うかなあ…